たからもの
ひとつ、ひとつ、また増えていく
ガラクタを増やして、ひとつ、
またひとつ。
こんなにたくさん抱えきれないことを
いつから知ってしまったのか
全部は連れて行けない
あの時の気持ちも
もう忘れてしまったのなら
棄ててしまったことになるのだろうか。
今のこころを、
棄ててしまったと言われることが
怖いだけなのか。
或いは。
私を私たらしめる虚無を
あなたは知らない
あなたは知らない
本当に欲しいものはいつも指の間からすり抜けて
透明な水のように滴り落ちていく
それが私を映す
己の悲しみすら見えぬ癖に、ただ其れは空虚に
見えたままの姿を映し出すのだ
私のことを嫌ったあの人の
本当の気持ちを
私は知らない。